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中小企業経営者の高齢化が進み、中小企業経営者の半数以上が60代以上となっています。業績が良い企業、貴重な技術やノウハウを持つ企業であっても、後継者不在によりやむを得ず廃業するケースが後を絶ちません。こういった状況の中、事業を継続する手段の一つとして、第三者に事業を承継する、M&Aが注目されています。
Q1:近年、中小企業の事業承継目的でM&Aの話を良く耳にしますが、オーナー経営者の立場からは、どんなメリットがあるのですか?
A1:主に、(1)後継者問題の解決策、(2)株式の現金化、(3)税務上のメリット、の3点が挙げられます。
Q2:Q1(1)の「後継者問題の解決策」について、簡単に教えてください。
A2:親族に後継者がいない場合であっても、第三者に株式や事業を譲り渡すことで、事業を継続し、従業員の雇用を守りつつ、経営を承継することができます。「一生懸命育ててきた大切な会社を残したい。地域社会からも必要とされており、従業員にも引き続き働いてほしい。しかしながら、息子は大手企業に就職し、継ぐことはないと言っている。自分はもう高齢でもし病気にでもなったら事業継続が危ぶまれる。どうしよう・・・」という場合に、「この会社を欲しい」と言ってくれる第三者に会社の株を売却することが解決策となり得ます。
Q3:Q1(2)の「株式の現金化」について、簡単に教えてください。
A3:株式を売却することで、現金が手元に入りますので、ご勇退後の生活資金や、投資資金として自由に活用することができます。
Q4:Q1(3)の「税務上のメリット」について、簡単に教えてください。
A4:株主が個人の場合、解散・清算する場合に比べて税務上、M&Aの方が有利になるケースがあります。もし会社を解散・清算すると、最後に残った財産を株主が受け取る際に所得税が課税されます。他の所得と合算して最高55.945%の累進税率により課税されますので、納税額が高額になる可能性があります。一方、M&Aにより株式を売却する場合、他の所得とは合算せずに、売却益に対し20.315%で課税されますので、所得税上有利になる可能性があります。さらに、退職金と組み合わせる事でさらなる節税効果が期待できます。所得税は色々な所得区分がありますが、中でも「株式の譲渡益」と「退職金」は優遇されており、この2つを組み合わせることができるのがM&Aです。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年7月7日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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