TOP > 売手#006
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最低限これだけは!売却検討の初期にやっておくことは?(前編)では、M&Aの事前準備として、「オーナー社長がいなくても大丈夫な組織作り」「買手側の目的を知っておく」を解説しました。本稿では、「一般的な売買価額の決め方を知っておく」「株主の把握と意思統一」について、簡単に解説します。
Q1:「一般的な売買価額の決め方を知っておく」とどういうメリットがあるのですか?
A1:市場価額がある上場企業の株式と異なり、上場していない会社の株式には客観的な価額が定まっていません。例えば、相続税を計算する際には、財産評価基本通達というマニュアルのようなものに基づき、非上場株式の価額を算出しますが、M&Aではそういったマニュアルは無く、売手と買手の話し合いで決まります。とはいえ、ベースとなる価額が無いと、なかなか話し合いも進みませんので、M&Aでは企業価値の評価方法として、「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」という考え方が用いられます。この3種類の方法のいずれかを選択、あるいは複数を組み合わせて株式価額を算出した上で、売手と買手が協議し、合意した金額が売買価額となります。細かい計算式まで知る必要はありませんが、最低限、どういう考え方に基づく計算になっているかは理解しておきましょう。買手側との交渉を進める前に、事前に自社を外部専門家に調査してもらい、企業価値を算出(=セルサイドDD)しておくことも有効策です。
Q2:「株主の把握と意思統一」を行わないと、どういう問題が生じますか?
A2:株式の売買にあたり、買手側が意識することの一つとして、「そもそも売買取引が成立するか?」があります。株主が1人であれば、その人が「売る」と決めればそれで良いのですが、株主が複数いる場合、株主Aさんは売却したいが、株主Bさんは売却に反対している、といった状態であれば、買手は株主Bから株式を取得することが難しく、100%の所有を目的としたM&Aの場合、成立しなくなる恐れがあります。こういったことが無いように、まずは、売手側の株主名簿の整理、株券の有無の確認、名義株の有無の確認(実際に出資はしていないが、出資したことになっている株主)を行った上で、しっかりと話合いをし、株主全員の意思を統一しておきましょう。もし、意思統一が難しい場合、少数株主の排除といった手法もありますので、弁護士等の法務専門家に相談されることをお勧めします。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年11月8日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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