TOP > 売手#005
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満足度の高いM&Aを実現するためには、何よりも事前準備が大切です。もっと早めに準備しておけば、希望通りの条件で売却できたのに・・・と後悔することが無いように、できれば3年、少なくとも1年前から、少しずつで構いませんので、準備を進めておきましょう。進め方に不安がある場合は、M&Aアドバイザーを起用することも一案です。
Q1:私は中小企業のオーナー経営者ですが、数年後に自社の株式を売却しようと考えています。売却にあたり、私が重視している条件は、事業の継続と、従業員の雇用継続です。もちろん、できるだけ高額で売却したいという考えもあります。M&Aの準備としては、何をすれば良いでしょうか?
A1:色々ありますが、重要な項目4点に絞ると、「オーナー社長がいなくても大丈夫な組織作り」「買手側の目的を知っておく」「一般的な売買価額の決め方を知っておく」「株主の把握と意思統一」を意識した準備をお勧めします。
Q2:なぜ、「オーナー社長がいなくても大丈夫な組織作り」が大事なのですか?
A2:中小企業の多くは、オーナー(株主)=社長であり、社長の技術力や営業力で会社を成長させてきた歴史があると思います。しかし、社長の能力に頼り切っている会社は、M&Aに伴い社長が退任することで、売上や利益が下がったり、成長力が弱まったりしてしまいます。こういった会社は、買手にとっては、買った後に企業価値が下がることが明白なので、魅力的に映りません。よって、社長が何もしなくても、自律的に運営できる組織が、買いやすい=売りやすい会社と言えます。たまに、買手との面談時に、オーナー社長が過去の武勇伝や栄光を語られる場面に出くわすことがありますが、そういったお話は心の中に閉まっておいて頂いた方が得策です。
まずは、オーナー社長ご自身の仕事を言語化し、一覧にしてみてください(結構難しいと思います)。次に、誰かに引き継げる仕事と、引き継げない仕事に区分してください。歴史のある会社ほど時間はかかりますが、特に引き継げない仕事は代替策が無いかどうかの検討を少しずつでも、進めていきましょう。
Q3:「買手側の目的を知っておく」とどういうメリットがあるのですか?
A3:M&Aに限らずですが、「欲しい!」というお気持ちが強い買手であれば、売手側の希望も受け入れてもらいやすいです。主なM&Aの買手として、事業会社、投資ファンドが挙げられます。それぞれの考え方や、買収目的を知っておきましょう。買手が事業会社であれば、事業規模や、事業範囲の拡大が主な買収目的となりますので、当社と買手の相乗効果や、相補効果が大きいほど、好条件での売却が可能となります。 詳細は、「#3高く売るためのポイント~買手の目的を知っておこう~」をご覧ください。
買手が投資ファンドの場合は、買収後、経営に関与し、必要に応じて資金注入をして企業価値を高めた上で、最終的に売却する時の売却益が主な目的となります(長期保有方針を採るファンドもあり、ファンドによって目的は様々です)ので、今後の成長可能性が高い企業が求められます。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年11月8日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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