TOP > 売手#007
Answer
売手と買手との最終的な手続きがクロージングです。M&Aのプロセスを進めていく中で、「クロージング」という言葉がよく出てきます。クロージングの意味を正確に理解せずに話を進めてしまうと、双方で食い違いが生じてしまいます。特に、スケジュールを相談する際に「クロージングを何月何日にするか」は、極めて重要な決め事になりますので、クロージングの意味をしっかり確認しておきましょう。
Q1:M&Aの手続きで「クロージング」という言葉が出てきますが、どういう意味ですか?
A1:クロージングとは、最終契約に基づき、対象物(株式、財産等)の譲渡と譲渡対価の支払いを実行することです。「決済」と呼ばれることもあります。
Q2:最終契約書の締結と、クロージングはどういう順序で行われるのですか?
A2:まず、売手と買手が合意した内容に基づき契約書を締結し、その契約書の合意内容に沿ってクロージングを行う、という順序になります。M&Aの最終契約として一般的な株式売買契約であれば、「売買契約書に株式会社ABCの株式を、1株いくらで、いつ売却する。」というような内容が記載されますので、その契約内容に基づき、株式の譲渡や譲渡代金の受け渡しをする=クロージングとなります。
Q3:契約締結とクロージングを同時に行うことはできないのですか?
A3:同時に行うケースもあります。ただし、契約書に「クロージング条件」が定められる場合は、契約締結後、クロージングまでの間にクロージング条件を満たす必要があるので、その期間を確保する必要があります。例えば、売却対象会社が、本業には直接的な関係が無い収益不動産を所有している場合、買手より、クロージングまでに売却するよう要求を受ける場合があります。これが、「クロージング条件」です。不動産の売却には相応の期間が必要ですので、この場合は、契約に定められた期間内に、クロージング条件を満たすように売手側としての対応が必要となります。
Q4:クロージング条件を満たすことができなかった場合、どうなりますか?
A4:最終契約書には、クロージング当日までにクロージング条件が満たされなかった場合についても定められることが一般的ですので、その契約書の定めに基づき、取り扱われることとなります。実務上は、やむを得ない理由により、クロージング条件を満たすことができない可能性が高まった場合は、早急に相手方に連絡し、丁寧に事情を説明した上で、その後どうするかを協議することが望ましいです。クロージング当日に「クロージング条件が満たされていない!」ということが判明する、ということが無いよう、最終契約の締結からクロージングまでのタスク管理、スケジュール管理には特に注意するようにしましょう。
Follow @ActusMA……………………………………………………
本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
……………………………………………………
公開日 2024年2月21日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
アクタス税理士法人M&Aチームのご紹介
アクタスでは、このQ&Aのようなノウハウを持った専門家が、「わかりやすさ」を第一に、M&A戦略の検討(Strategy)〜対象会社の調査(DD)・企業価値評価(Valuation)〜実行後の支援(PMI)までご支援します。ご予算に応じて部分的なご支援も可能です。初回のご相談は無料で対応させて頂きますので、何かお困りのことがあれば下記お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。
M&Aコンサルタント募集のご案内
アクタスでM&Aコンサルタントとして活躍してみたい!というご意向がある方は、下記のアクタス応募採用フォームまでご応募ください。税理士事務所経験者、監査法人経験者、金融機関経験者、コンサルティングファーム経験者など、多彩な経歴のメンバーを募集しています。