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Answer
スタートアップ企業、ベンチャー企業のExit戦略として、一般的にIPO(株式公開)とM&A(企業買収)が挙げられますが、どのような違いがあるのか、それぞれの特徴を抑えておきましょう。
Q1:まず、スタートアップ企業におけるExitとはどういった意味なのでしょうか?
A1:Exit(イグジット)は、直訳すると「出口」という意味ですが、スタートアップ企業においては、会社の創業者である株主兼経営者が、その株式を他者へ売却して現金化することをM&Aイグジットと呼びます。また、証券取引所に上場し、株式を一般に公開して投資家に売り出すことを、IPO(Initial Public Offering)イグジットと呼びます。IPOの場合、通常、全ての株式を売却する訳にはいきませんので、完全に株式を現金化している訳ではありませんが、株式を公開することで株式の価格が上がり、流動性の高い保有資産が増えるという意味で、イグジットとされています。
Q2:オーナー経営者の立場から、IPOとM&Aの利点をそれぞれ教えてください。
A2:IPOは、資金調達を行い、自社の事業をより伸ばしていきたい場合に有効です。一方、M&Aは、事業を現金化し、自由な資金と時間を手に入れたい場合や、新たな投資資金として活用したい場合に有効な手段です。
Q3:IPOの利点について、もう少し詳しく教えてください。
A3:主に次の3点が挙げられます。
- 証券取引所に株式を上場することで、企業の知名度や信頼度が向上します。対外取引や従業員採用の面で有利に働きます。
- 企業の株式を新規発行し、一般投資家に売却することで、大型の資金調達が可能となります。資金投入が必要となる成長戦略の実行が可能となります。
- ストックオプション等のインセンティブ制度を採用することにより、IPO実現に向けた、役員・従業員のモチベーションを向上させることができます。
Q4:M&Aについて、IPOと比較した場合の利点を教えてください。
A4:IPOと比較し、手続き、労力、コスト、時間の面でM&Aの方が相対的に簡便です。証券会社とのやり取りや、監査対応、その他上場に向けた様々な要件の充当や手続きがIPOでは求められますが、M&Aは不要になります。IPOの場合、オーナーはインサイダー情報を有しており、創業者が株式を大量に売却すると、投資家の目線からは、これ以上事業の成長が望めないのか、と判断され、株価下落の要因になり得ることから、上場後の保有株式の売却に制限がかかります。また、上場後も、通常は継続して経営に従事する必要がありますので、自由に使える手元現金や自由な時間を確保する観点からは、M&Aに分があります。M&Aの場合は全株式の売却が基本であり、株式を100%現金化することが可能となり、新たな事業用資金、投資資金として自由に活用することができます。また、売却後は経営から退くことが一般的ですので、時間的制約や、経営に対する責任からも解放されます。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年8月22日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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