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Answer
M&Aによる買収は大きな投資となりますので、失敗のダメージも大きくなります。事前に失敗事例を知っておくことが、失敗の回避のために有効です。
Q1:買手目線で、よくあるM&Aの失敗事例を教えてください。
A1:M&Aの失敗=「当初期待していた効果が出なかった」です。どういう場合にM&Aの失敗が発生してしまうのか。実務上、よくある事例として(1)目的が曖昧、(2)買収後に簿外債務やトラブルが発覚、(3)買収後の統合が不十分、の3点が挙げられます。
Q2:Q1の「(1)目的が曖昧」とは、どういうことですか?
A2:M&Aに限りませんが、事業活動は、ゴール(=目的)を設定し、それを達成するために手段を選び、実行することが大原則です。M&Aは手段であり、目的ではありません。例えば、金融機関や紹介会社から買収対象企業の紹介を受け、始めてM&Aに取り組むこととした場合に、事前に目的を定めないままM&Aの検討を進めてしまい、無事完了したものの、そもそも何をしたかったのかが判らず、効果のモニタリングができない。今回のM&Aが成功したのか、失敗したのか誰も判らない・・・という事が想定されます。
Q3:どうすればこういう失敗を防げますか?
A3:M&Aの検討を開始する前に十分に「今回のM&Aで獲得したいものは何か」を可能な限り数値化し、具体的に言語化しておくことが非常に重要です。さらに、キーマンとなる社内関係者を厳選した上で初期検討段階から巻き込み、この言語化作業を一緒に行うことを通して、目的を共有しておくことが望ましいです。
Q4:Q1の「(2)買収後に簿外債務やトラブルが発覚」について詳しく教えてください。
A4:買収完了後、ほっとしたのも束の間。対象会社の中身をよく見ると、貸借対照表には記載されていない負債や、社内外のトラブルを抱えていたことが発覚することがあります。例えば、従業員の方に残業代を支給しておらず、未払残業代が多額に発生する場合や、対外的な訴訟・紛争を抱えている場合など。その解決のために多額のコストや時間を要する場合、当初期待していた効果が出ないばかりか、そもそも買収すべきだったのか?という議論に発展することもあります。
Q5:どうすればこういう失敗を防げますか?
A5:買収を実行する前に対象会社を調査し、実態を把握した上で「そもそも買収すべきか」、「買収額はいくらが妥当か」といった検討を進めることが望ましいです。この買収前の調査をDD(デューデリジェンス)と言います。DDはいくつか種類があり、代表的なものとして、法務DD、財務DDがあります。DDは買手自ら行う場合もありますが、外部専門家に調査を依頼することが一般的です。
Q6:Q1の「(3)買収後の統合が不十分」とは、どういうことですか?
A6:M&Aの醍醐味として、自社事業と、買収対象事業をうまく組み合わせ、シナジー効果を創出することができれば、1+1=3にも4にもなります。しかし、うまく組み合わせることができなければ、シナジー効果どころか、買収コストの回収さえままならない・・・という事態も起こり得ます。例えば、M&Aの完了後、当社側と、買収した企業の役員・従業員との協力体制を構築することができず、信頼を失ってしまい、最悪の場合離職に繋がる事が想定されます。
Q7:どうすればこういう失敗を防げますか?
A7:上述の「うまく組み合わせる」ことをPMIと言い、早い段階からPMIを意識し、取り組むことでM&Aの期待効果を十分に発揮することができます。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年7月7日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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