TOP > 買手#008
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売手側、買手側双方で、M&A交渉からクロージングまでをスムーズに進めたいという意向は一致している場合であっても、ちょっとしたボタンの掛け違いで、うまくいかない場合はよくあるものです。本稿では、「売手側、買手側のスケジュール感のズレ」について取り上げます。
Q1:売手側と基本合意書を締結し、M&Aの交渉がスタートしました。ここからプロセスを進めるにあたり、気を付けておいた方が良い点はありますか?
A1:よくあるプロセス上のトラブルとして、売手側とのスケジュール感のズレが挙げられます。M&Aにおいて頻出のトラブルですので、気を付けておきましょう。
Q2:なぜ、スケジュール感のズレが発生するのでしょうか?
A2:スケジュールを可視化せず、言葉の通り「スケジュール感」で進めてしまうことに原因があります。
一般的に、基本合意書に大まかなスケジュールを記載しますが、これにより、スケジュール感が一致したという誤解が生まれます。基本合意書には、通常、デューデリジェンス(買収対象会社の調査)の期間、最終契約の締結時期、クロージング時期を記載します。しかし、あくまで基本合意書の締結時点のスケジュールであり、調査・交渉を進める中で新たな事実が発覚し、追加調査が必要となる等、スケジュールを見直す状況はどうしても生じてしまいます。
その都度、売手側、買手側双方でスケジュールの摺合せを行うべきですが、これを怠ると、例えば売手側は「基本合意書に定めた事項を守らない!」片方は「調査に非協力的だ!」というすれ違いが生じ、最悪、「相手側が意図的にスケジュールを遅らせているのではないか?」という不信感をお互いが抱き、ご破綻(=ディールブレイク)に繋がる恐れがあります。
Q3:そういう事にならないための対策はありますか?
A3:はい、あります。基本合意書の締結後、デューデリジェンス~クロージングまでの工程表(ガントチャート)を買手側が作成し、売手側に共有しましょう。進捗状況のステータスを随時工程表に記入し、売手側と共有することで、プロジェクトの進捗がお互いに可視化されます。スケジュールの変更が必要となる事実が生じた場合は、工程表を修正し、売手側に説明を行うことで、上記のような事態を防ぐことができます。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年9月6日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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