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M&Aでは、売手側と取り交す書面や契約書がいくつかあります。初めてのM&A実務に携わる場合、次々と出てくる書面や契約書に、戸惑うことも多いでしょう。どういった内容の書面を取り交わすのか。どのタイミングで、なぜ取り交わすのか、事前に把握しておくことで、M&Aのプロセスをスムーズに進めることができます。
Q1:M&Aのプロセスで出てくる書面や契約書にはどんな種類がありますか?
A1:代表的なものとして、ノンネームシート(NN)、秘密保持契約書(NDA)、企業概要書(IM)、意向表明書(LOI)、基本合意書(MOU)、株式譲渡契約書の6点が挙げられます。
Q2:ノンネームシートについて詳しく教えてください。
A2:ノンネームシートとは、売手側が買手を探す際に作成する書面で、買手に興味を持ってもらうために必要な情報を記載した概要書です。「ノンネーム」という名称の通り、売手側の対象会社名を伏せ、地域、事業内容、売上高など、最小限の情報が記載されます。買手側は仲介会社やマッチングサイト、売手FA等を経由してノンネームシートを入手し、興味があれば具体的な協議を進めたいと申し入れます。なお、ノンネームシートはNN(エヌエヌ Non-Name Sheets)という略称や、ティーザー(Teaser)という別称で呼ばれることもあります。
Q3:秘密保持契約書について詳しく教えてください。
A3:秘密保持契約書とは、相手方から得た秘密情報を適切に管理し、第三者に対して公表、開示、漏洩させてはならない旨を規定した契約書です。売手側と話を進める前段階で取り交わします。買収交渉を進めるにあたり、主に売手側から情報の開示を受けることとなりますが、情報を開示する側の立場からすれば、開示した秘密情報が万が一漏洩すると大きな損害を受ける可能性があるため、そういった事態を防ぐことを目的としています。買手側がM&Aを検討していること自体も秘密情報ですので、その情報漏洩防止も目的となります。なお、秘密保持契約書はNDA(エヌディーエー Non-Disclosure Agreement)や、CA(シーエー Confidential Agreement)と呼ばれることもあります。
Q4:企業概要書について詳しく教えてください。
A4:企業概要書とは、通常は秘密保持契約書を締結した後に、売手側が買手側へ、対象会社の概要を伝えるために渡す資料です。ノンネームシートとは異なり、対象会社の具体的な情報を開示するものですので、社名や役員・株主構成、沿革、事業所、3期比較財務諸表、将来事業計画といった情報が記載されています。買手側は、この企業概要書を見た上で、次のステップに進むべきかどうかを判断する訳ですが、企業概要書は決まったフォーマットや必須記載項目がある訳ではないので、ある程度、売手側で情報の選択がされており、良い情報が記載されていると考えるべきです。従い、買手側としては、企業概要書のみで判断するのではなく、対象会社の調査(デューデリジェンス)を行い、企業概要書の記載情報が正しいか、企業概要書に記載されていない重要な情報が無いかを確認することが肝要です。なお、企業概要書はIM(アイエム Information Memorandum)と呼ばれることもあります。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年7月18日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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