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Answer
本稿では、買手目線で、M&Aの全体の流れを解説します。
Q1:買手目線でM&Aの流れを簡単に教えてください。
A1:一般的には次の流れで行われます。
戦略を策定する
↓
買収対象の選定
↓
買収対象会社の調査(DD=デューデリジェンス)
↓
買収条件と買収額の交渉、契約と実行
↓
各種手続き+PMI(統合業務)
Q2:「戦略を策定する」とは具体的には?
A2:「今後当社はどうありたいか」を考えることです。まず当社のあるべき姿を描き、それを実現するための手段の一つとしてM&Aがある。という順番です。例えば、和菓子製造販売を営む会社のビジョンである「当社の和菓子の魅力を日本全国に届ける」を実現するためには、「自社努力により地方展開する」「他社とアライアンスを組み、地方販売を委託する」「M&Aにより地方の小売店を買収する」などが考えられます。これらの中から、自社の目的に最も合う方法を検討することとなります。M&Aありきで進めてしまうと、何のために買収したが曖昧になり、買収後のシナジー効果が十分に発揮できなくなりますので、「買収の目的」を言語化しておきましょう。
Q3:「買収対象の選定」を詳しく解説してください。
A3:戦略が定まり、M&Aを実施する方針になったら、次はどういった会社、事業を買収するかの検討に入ります。「戦略を達成するために必要な経営資源を持っていること」と「買手として絶対に譲れない条件を満たしているか」が選ぶ際の基準となります。対象会社を探す際には、M&A仲介会社、M&Aコンサルタント、金融機関、顧問弁護士や税理士等の専門家、事業承継引継ぎセンターといった公的機関に相談してみるのも良いでしょう。
Q4:買収対象会社の調査(DD=デューデリジェンス)とは?
A4:買収前に、対象会社を調査することです。例えば、家電製品を買うときは、カタログにより購入前に機能や性能を確認することが可能ですが、M&Aの買収対象会社にはカタログはありません。売手から提示される基本情報を参考にすることはできますが、買手が買収の意思決定をするために必要な情報は、自ら対象会社を調査して入手する必要があります。この調査をDD=デューデリジェンスといいます。「デューデリ」と略す場合や、「ディーディー」と呼ぶ場合もあります。DDには財務DD・法務DD等、色々な種類があり、買手が自社で対応するほか、必要に応じて各専門家に依頼することが一般的です。
Q5:買収条件と買収額の交渉、契約と実行の流れを教えてください。
A5:DDにより必要な情報が手に入れば、「買収条件」と「いくらで買うか」を検討します。買収条件は、株式売買とするか、事業譲渡譲受とするかといったスキームから、契約書に盛り込む表明保証条項、支払のタイミングまで、売手と協議する条件は多岐にわたります。買手側として希望する買収額は、対象会社単体の株式価値或いは対象事業単体の事業価値+買収により見込まれるシナジー効果(買収したことで生み出される利益や価値)となります。一方、売手側にも希望価額がありますので、最終的に交渉により折り合いが付いた金額が合意価格となります。株式売買契約書の締結が完了したら、契約内容に基づき株式等の引き渡し、売買対価の支払いを行います。
Q6:各種手続き+PMI(統合業務)について解説してください。
A6:買収完了後は、会計処理、税務申告、許認可等の手続が必要となりますので、各専門家の支援を受けつつ抜け、漏れが無いように対応しましょう。また、経営方針の擦り合わせ、関係者への説明、実務上の引継ぎといった統合業務(PMI)を進めていきます。
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本稿は、中小企業のM&Aにフォーカスし、わかりやすく解説するために、専門用語ではない表現を用いている部分があります。また、網羅性を排除して一般的な内容のみに限定して解説している箇所がございますので、予めご了承ください。
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公開日 2023年7月7日
執筆者 アクタス税理士法人 シニアパートナー 税理士・中小企業診断士 丸山貴弘
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